KUNIO11 HAMLET

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PRODUCTION NOTE

10年目のKUNIO。初のシェイクスピア作品に挑戦——

杉原邦生は“KUNIO”の立ち上げ以来、川村毅、イヨネスコ、岸田國士、トニー・クシュナーなどの作品を取り上げ上演してきた。そして2012年9月、KUNIOの10作品目として、杉原は大学時代の恩師である太田省吾の『更地』を上演した。その作品が一つの節目であったと話す杉原が2014年、KUNIO 十周年に次の新たなステップとして選んだのは、演出家を志したときからいつか挑戦したかったというウィリアム・シェイクスピアの『ハムレット』。さらに、今回は約1年の製作期間を経て、上演に望む。

新しい日本語翻訳で紡ぐ、シェイクスピアの言葉

今回KUNIOでは、シェイクスピアの紡ぎだした言葉、詩的なリズムの魅力を継いで、現代(いま)の日本語として如何に聴かせるか…その点を課題に翻訳から見直すことにした。新たな翻訳の作業には、京都大学でシェイクスピアの劇作術研究にあたる桑山智成氏を迎え、シェイクスピアの勉強会も重ねた。また、原書には1603年に書かれ、最も古く、そして最も短いバージョンである“Q1”を選択。そして、桑山氏によるシェイクスピアの精神を失うことのない、新しい日本語訳の『ハムレット』が誕生した。

時間をかけて生まれるKUNIO版『ハムレット』

2013年8月、12月の2期に分けて開催された出演者オーディションより一部俳優を選出、さらに、本稽古が始まるまでの期間、作品創作のためのワークショップを断続的に3回行った。通常、1つの舞台作品にかける稽古は1〜1.5ヶ月程度であることが多い。だが、その前にワークショップという形で俳優と共に様々な可能性を試す場を設けることで、演出家と俳優の関係性が構築され、スムーズに本稽古に望めることになる。また、多角的に作品を見つめ直すことで、『ハムレット』という戯曲の新たな魅力を発見する機会ともなった。3回目のワークショップには翻訳の桑山氏も参加。できたての新訳台本の一部を使用し読み合せなどを行った。俳優の身体から発せられる言葉に慎重に耳を傾けながら、台本に細かな修正が加えられていく。
この3回のワークショップから、KUNIO版『ハムレット』が立ち上がり始めていった。