11月10日(日)
京都芸術劇場 春秋座
11月21日(木) ー 30日(土)
KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ
『グリークス』は、1980年にイギリスで初演された10本のギリシャ悲劇をひとつの長大な物語に再構成した長編の舞台作品。三部構成になっており、第一部、第二部、第三部の上演時間はおよそ9~10時間にも及ぶ作品です。本作品に、2011年KUNIO11『エンジェルス・イン・アメリカ 第1部「至福千年紀が近づく」第2部「ペレストロイカ」』の連続上演以降、木ノ下歌舞伎『三人吉三』(2014年、2015年)、同『東海道四谷怪談―通し上演―』(2013年、2016年)と、長編の硬質な戯曲に取り組んできた演出家の杉原邦生が、第一部、第二部、第三部の連続上演に挑みます。
また、今回の上演にあたって、翻訳を小澤英実さんが担当いたします。2014年のKUNIO11『ハムレット』以降、KUNIOでは海外戯曲を上演する際に出来る限り新翻訳を行っています。“いま、この時代に上演すること”をテーマに、翻訳者とともに「言葉」の多様性を捨てずに選び、創作にあたりたいと考えます。
僕は〈大きな演劇〉が好きです。僕の言う〈大きな演劇〉とは、時間や空間、物量など物理的な〈大きさ〉の上に、物語としての〈大きさ〉をあわせ持った演劇のことです。簡単に言えば、長ったらしくて壮大なストーリーの演劇が好きということです。なぜなら、長い時間をかけることでしか表現できない物語や世界があるから。そして、そういう作品でしかつくり出せない祝祭的な時間と空間がたまらなく好きだから。それが僕の思う〈大きな演劇〉の魅力であり、『グリークス』はその魅力が詰まりまくった演劇だと言えます。
「誰のせいだったのか。」───約2500年前、古代ギリシャで生まれた悲劇10本によって紡がれるこの物語が、現代の僕たちに投げかけてくる問い。それは、とてもシンプルです。人は抱えきれないほどの不幸や災難、苦しみや悲しみに襲われたとき、必死にその原因をわかりやすい形で求めはじめます。やがて、ひとつの答えが導き出されると、憎しみや怒りが湧き上がり、そのものを消し去りたいと強く願います。そして、その強い願いがまた新たな悲劇を生み出していくのです。
「誰のせいだったのか。」と過去を掘り下げていくことが悲劇を生み続けていく。この連なりは一体いつになれば終わるのか。いつになれば人間は悲劇から解き放たれるのか。もしかすると、この〈大きな〉問いと戦い続けることこそ、《戦争》も《殺人》もなくなることのない世界に生きる僕たち人間に、《神々》が与えた宿命なのかもしれません。しかし、この宿命はひるがえって、〈希望〉であるとも言えます。これまで答えの出ない問いに向かい続けることができたのは、そこに僕たち人間が僅かながらも可能性を見出してきたからだと思うからです。
10時間という長大な上演時間の中、古代ギリシャの悲劇を通して、人間が見出したその〈希望〉を生き活きとエキサイティングに現代へ描き出したいと考えています。そして、この〈大きな演劇〉が持つエネルギーとその魅力を、ぜひ劇場で共に体感してほしいと願っています。
杉原邦生
かつて全知全能の神・ゼウスと海神・ポセイドンは、美しい海の女神・テティスに求婚していた。しかしゼウスとポセイドンは、「テティスの産む子は父を超える」との預言を知り、やむなくテティスとの結婚を諦める。代わりに神々は、人間の子・ペレウスをテティスの相手に定めた。
ペレウスはテティスにひと目惚れし、やがて二人は結ばれる。オリンポスで執り行われた結婚式には、すべての神々が招待されていた。しかし、二人はよりにもよって、争いの女神・エリスだけを招待し忘れてしまう。怒ったエリスは、婚礼の宴に「最も美しい女神へ」と刻まれた黄金のリンゴを投げ込んだ。これをめぐって、三人の女神・ヘラ、アテナ、アプロディーテが対立。最も美しいのは誰か、黄金のリンゴは誰のものか。ゼウスはトロイアの王子・パリスに判定を託した。パリスはトロイア王・プリアモスと妻・ヘカベの息子だが、災いをもたらすとして幼い頃に捨てられ、羊飼いとして生活していた。
パリスの前に現れた女神たちは、リンゴの持ち主に自分を選ぶようにと条件を提示。最高位の女神・ヘラは世界一の財産を、智恵の女神・アテナはあらゆるものを生み出す智恵を、そして愛の女神・アプロディーテは最も美しい女・ヘレネを与えると言う。その結果、パリスが選んだのはアプロディーテだった。
ところが、ヘレネはすでにギリシャのスパルタ王・メネラオスの妻であった。女神の力で妻を奪われたメネラオスは、ヘレネを奪還するため、国じゅうの武将に協力を求める。以前、ヘレネのもとにギリシャ全体から大勢の求婚者が集まった時、ヘレネの父・テュンダレオスは「誰がヘレネの夫になろうとも、その男が困難に陥った時は全員が力を貸す」と誓わせたのだ。こうしてメネラオスと、ギリシャ軍総大将である兄・アガメムノン、多くの武将たちが未曾有の大船団を率いてトロイアへ侵攻する。
トロイア戦争の始まりである。
編・英訳|ジョン・バートン、ケネス・カヴァンダー
翻訳|小澤英実
演出・美術|杉原邦生
音楽|Taichi Kaneko 振付|白神ももこ[モモンガ・コンプレックス]
照明|高田政義[RYU] 音響|稲住祐平*
衣裳|藤谷香子[FAIFAI]
舞台監督|藤田有紀彦* 京都公演舞台コーディネイト|大鹿展明
演出助手|大原渉平[劇団しようよ]、木之瀬雅貴、西岳[シラカン]
衣裳製作|臼井梨恵、山道弥栄、永瀬泰生
プロダクション・マネージャー|山添賀容子* 技術監督|堀内真人*
神奈川公演制作統括|横山歩*
宣伝美術|加藤賢策[LABORATORIES] 特設サイト制作:小林タクシー
文芸|稲垣貴俊 版権コーディネイト|株式会社シアターライツ
制作|河野理絵、前田明子、加藤仲葉
プロデューサー|小林みほ、千葉乃梨子*(神奈川公演)、井出亮(京都公演・京都造形芸術大学舞台芸術研究センター)
*はKAAT神奈川芸術劇場
2019年 11月 10日(日)
第一部「戦争」11:00
第二部「殺人」15:00
第三部「神々」18:00
京都芸術劇場 春秋座
〒606-8271 京都市左京区北白川瓜生山2-116
京都造形芸術大学内
Tel : 075-791-9207
http://k-pac.org/
2019年 8月 2日(金)10:00
令和元年度文化庁芸術祭参加公演 | |
企画・製作 | KUNIO/合同会社KUNIO,Inc. KAAT神奈川芸術劇場 |
主催 | 京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター |
共催 | KUNIO/合同会社 KUNIO,Inc. |
助成 | 文化庁文化芸術振興費補助金 (劇場音楽堂等機能強化推進事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会 公益財団セゾン文化財団 |
お問合せ | 京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター TEL 075-791-9207 |
2019年
11月 21日(木)ー 30日(土)
第一部「戦争」11:30
第二部「殺人」15:00
第三部「神々」18:30
第一部 11:30 |
第二部 15:00 |
第三部 18:30 |
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11/21木 | ● | ● | ● |
11/22金 | 休演日 | ||
11/23土 | ● | ● | ● |
11/24日 | ● | ● | ● |
11/25月 | 休演日 | ||
11/26火 | ● | ● | ● |
11/27水 | ● | ● | ● |
11/28木 | 休演日 | ||
11/29金 | ● | ● | ● |
11/30土 | ● | ● | ● |
KAAT神奈川芸術劇場
大スタジオ
〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町281
http://www.kaat.jp
2019年 8月 3日(金)10:00
企画・製作 | KUNIO/合同会社KUNIO,Inc. KAAT神奈川芸術劇場 |
主催 | KUNIO/合同会社KUNIO,Inc. KAAT神奈川芸術劇場 |
助成 | 公益財団法人セゾン文化財団 芸術文化振興基金 |
お問合せ | チケットかながわ TEL 0570-015-415(10:00~18:00) |